サックスはボケ防止になる?楽器演奏と脳の関係を研究データで解説

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サックスはボケ防止になる?楽器演奏と脳の関係を研究データで解説

「何かボケ防止になる趣味はないかな…」

60代を過ぎると、ふとした瞬間に不安がよぎることがあります。

「最近、人の名前がすぐに出てこない」 「昨日の夕飯が思い出せない」 「何かを取りに行って、何を取りに来たか忘れる」

こうした「あれ?」という瞬間が増えてくると、「何かボケ防止になることをしなきゃ」と思う方は多いのではないでしょうか。

脳トレのドリルやパズルも良いですが、実は楽器の演奏がボケ防止に非常に効果的だということが、近年の大学研究で明らかになっています。

しかも、数ある楽器の中でもサックスはシニアの脳トレとして特に向いているのです。

この記事では、京都大学や東北大学の研究データを引用しながら、なぜ楽器演奏がボケ防止になるのか、そしてなぜサックスが特におすすめなのかを解説します。

目次

サックスなどの楽器演奏は「脳の全身運動」だった

サックスなどの楽器演奏は「脳の全身運動」だった

まず、楽器演奏が脳にどんな影響を与えるのかを見てみましょう。

脳科学の研究では、楽器を演奏しているとき、脳はほぼすべての領域が同時に活性化することがわかっています。

これは読書や計算では見られない現象です。

神経科学者たちがMRIで脳の活動を観察したところ、音楽を「聴いている」だけでも脳の複数の領域が活性化しますが、「演奏する」となるとその比ではなかったのです。

聴いているときの脳の活性化を「庭の小さな花火」に例えるなら、演奏しているときは「花火大会」のような状態だったと報告されています。

なぜそうなるかというと、楽器を演奏するとき、脳は以下のことをすべて同時に処理しているからです。

  • 視覚:楽譜を読む
  • 聴覚:自分が出している音を聴く
  • 運動:指を正確に動かす
  • 呼吸:息をコントロールする(管楽器の場合)
  • 記憶:曲の流れや指使いを思い出す
  • 感情:音楽の表現を考える

これだけ多くの作業を同時にこなすため、楽器演奏は脳にとって「全身運動」に匹敵すると言われています。

脳トレのドリルが「腕立て伏せ」だとすれば、楽器演奏は「水泳」のような全身運動。

使う脳の範囲がまるで違うのです。

サックスはボケ防止?73歳から始めた楽器でも脳の老化を防げる

サックスはボケ防止?73歳から始めた楽器でも脳の老化を防げる

「でも、それは若い頃から楽器をやっていた人の話でしょ?」と思うかもしれません。

実は、高齢になってから楽器を始めても効果があることが、京都大学の研究で証明されています。

京都大学の積山薫教授らの研究グループは、平均年齢73歳の高齢者が初心者として楽器の練習に取り組んだ結果を、4年間にわたって追跡調査しました。

その結果は驚くべきものでした。

京都大学の追跡研究の結果
  • 楽器の練習を継続した人は、4年経っても認知機能や脳の構造に加齢による低下が見られなかった
  • 楽器をやめてしまった人は、ワーキングメモリ(作業記憶)の成績が低下し、脳の一部(被殻)に萎縮が確認された
  • 高齢期(73歳)に初心者として始めた楽器でも、継続すれば脳を守る効果がある

研究を率いた積山教授は

高齢期には足腰や心臓などの問題から運動が困難になる方もおられますが、そんな方でも取り組める楽器が脳・認知機能にこれだけの効果があることは、希望の光となるでしょう。

参照元:京都大学「継続は力:高齢期に始めた楽器練習の効果―4年の追跡研究で見えた脳・認知機能維持―」(2025年6月30日発表)

とコメントしています。

つまり、60歳からでも70歳からでも、楽器を始めて続ければ、脳の老化を遅らせることが期待できるのです。

サックスでボケ防止|楽器未経験の高齢者でも脳が活性化する

サックスでボケ防止|楽器未経験の高齢者でも脳が活性化する

もう一つ、心強い研究結果があります。

東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターの瀧靖之教授らと池部楽器店の共同研究では、

65歳から74歳の楽器未経験の健常高齢者を対象に、16週間のグループ音楽セッション(楽器バンド演奏)を実施しました。

東北大学の共同研究の結果
  • 楽器演奏に参加した高齢者は、全般的な認知機能(MMSEスコア)が向上した
  • 言語性記憶(言葉を使った記憶力)が改善した
  • 気分状態(活気・活力)も有意に改善した
  • 参加しなかったグループには変化が見られなかった

参照元:東北大学加齢医学研究所「音楽セッションが脳と心の健康に与える効果を検証〜グループでの楽器演奏活動が健康寿命延伸に寄与の可能性〜」(2025年2月10日発表)

注目すべきは、参加者が楽器未経験者だったということ。

つまり、今まで一度も楽器に触ったことがない方でも、始めるだけで脳と心に良い変化が見られたのです。

なぜ「サックス」がシニアの脳トレに向いているのか

楽器演奏全般が脳に良い影響を与えることは、これまでの研究からわかりました。

では、なぜ数ある楽器の中でもサックスが特におすすめなのでしょうか。

理由① 「指」「目」「耳」「息」の4つを同時に使う

「指」「目」「耳」「息」の4つを同時に使う

ピアノは主に「指」と「目」と「耳」を使います。ギターも同様です。しかしサックスはこれに加えて「息のコントロール」が加わります。

腹式呼吸で安定した息を送り込みながら、楽譜を読み、指を動かし、自分の音を聴く。

4つの異なる作業を同時に行うのは、脳にとって非常に高度な「マルチタスク」です。

認知症予防の分野で注目されている「デュアルタスク」(2つ以上のことを同時に行うトレーニング)を、サックスの演奏は自然に実践していることになります。

公益財団法人長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」でも、歌いながら楽器を鳴らすなど2つの動作を同時に行うことが認知症の進行の予防に有効とされています。

参照元:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「音楽療法」

理由② 腹式呼吸が心身の健康に直結する

腹式呼吸が心身の健康に直結する

サックスを吹くためには腹式呼吸が欠かせません。

この腹式呼吸は、脳だけでなく体の健康にも良い影響を与えるとされています。

腹式呼吸に期待できる効果
  • 自律神経が整い、リラックス効果がある
  • 血行が促進され、脳への酸素供給が増える
  • 横隔膜を使うことで体幹のインナーマッスルが鍛えられる
  • 口や喉の筋肉を使うため、誤嚥性肺炎の予防にもつながる可能性がある

つまりサックスは、脳トレと呼吸トレーニングを同時にできる稀有な楽器なのです。

理由③ 初心者でもすぐに「音が出る」から楽しく続けられる

初心者でもすぐに「音が出る」から楽しく続けられる

京都大学の研究が示した最も重要なポイントは、「続けることが大切」ということでした。

楽器をやめてしまった人には効果が維持されなかったのです。

続けるためには、楽しくないといけません。

サックスは楽器の中でも音が出しやすく、初日から何かしらの音が鳴ります。「音が出た!」という成功体験が早い。

「北の国から」「ルパン三世」など知っている曲を吹ける喜びがある。だから楽しい。楽しいから続く。続くから脳に良い影響が続く。

この「楽しさの好循環」こそが、サックスが脳トレとして優れている最大の理由です。

理由④ 座ったままでもできる

 座ったままでもできる

ウォーキングやスポーツも健康維持に効果的ですが、膝や腰に不安がある方にはハードルが高い場合があります。

サックスなら椅子に座ったまま演奏できるので、体に大きな負担をかけずに脳を刺激できます。

京都大学の積山教授も「運動が困難になる方でも取り組める」と述べており、体力に不安のあるシニアにとって、楽器演奏は運動の代替になり得ると考えられています。

天候にも左右されません。

雨の日も、猛暑の日も、自宅やカラオケボックスで練習できます。

「脳トレ」と「趣味」を両立できるのがサックスの魅力

ここまで読んで「脳に良いのはわかったけど、脳トレのためだけにサックスを始めるのはちょっと…」と思った方もいるかもしれません。

でも安心してください。サックスは脳トレのための「手段」ではなく、それ自体が最高に楽しい「趣味」です。

好きな曲をカッコよく吹ける喜び。家族や友人に演奏を披露したときの歓声。上達する自分を感じる充実感。

楽しんでいるうちに、気づけば脳にも良い影響があった。 これがサックスの一番の魅力です。

「ボケ防止のためにつまらない脳トレドリルを我慢してやる」のと、「大好きなサックスを吹いていたら、結果的に脳にも良かった」のでは、続けやすさにおいて天と地の差がありますね。

サックスを始めてみたい方へ

「脳のためにも、趣味のためにも、サックスを始めてみようかな」と思った方へ。

60歳からでも、70歳からでも、83歳からでも、サックスは始められます。

実際にそうした方の事例を紹介した記事がこちらです。

→ 関連記事:60歳からサックスを始めるのは遅い?実は”今がベスト”な5つの理由

サックスだけでなく、他の楽器も含めて比較検討したい方はこちらをどうぞ。

→ 関連記事:定年後の趣味に楽器を始めたい!シニアにおすすめの楽器5選

自宅でDVD教材を使って学ぶ方法なら、教室に通わずに自分のペースで始められます。

シニアに人気の教材についてはこちらで詳しくレビューしています。

→ 関連記事:【正直レビュー】吉野ミユキ「初めてのアルトサックス講座」は60歳からでも本当に吹ける?

サックスはボケ防止の可能性がある!まとめ

  • 楽器の演奏は脳にとって「全身運動」。読書や計算とは比較にならない刺激を脳に与える
  • 京都大学の4年間の追跡研究で、73歳から楽器を始めても、継続すれば脳の老化を防げる可能性が示された
  • 東北大学の共同研究で、楽器未経験の高齢者でも楽器演奏で認知面や気分にポジティブな変化が見られることが確認された
  • サックスは「指・目・耳・息」の4つを同時に使うため、脳への刺激が特に大きい
  • 腹式呼吸が必要なため、脳トレと呼吸トレーニングを同時にできる
  • 楽しいから続く。続くから脳に良い影響が続く。これがサックスが脳トレに向いている最大の理由

脳トレを義務感で続けるのは大変ですが、好きな曲をサックスで吹く楽しさは別です。

練習するほど上達し、さらに吹きたくなる好循環が自然と脳を刺激します。

「ボケ防止に何かしなきゃ」と思っているなら、つまらない脳トレより、カッコいいサックスを始めてみませんか?

→ 関連記事:60歳からサックスを始めるのは遅い?実は”今がベスト”な5つの理由

参考文献・出典

この記事で参考にした研究データの出典は以下の通りです。

本記事は上記の研究発表等を参考に執筆した情報提供記事です。医学的な診断やアドバイスを行うものではありません。認知症の予防や治療については、かかりつけの医師にご相談ください。

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